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  • 12月 岐阜・長野エリア研修会 てんかんと薬物治療

    12月 岐阜・長野エリア研修会 てんかんと薬物治療

    今回の第1エリア(岐阜・長野エリア)の研修会は、「てんかんと薬物療法」について、
    横井成尚薬剤師の発表を聞きました。

    抗てんかん薬は、古くから使用されているものが多く、また、薬局では何かしら見かける
    機会のある薬だと思います。

    しかしながら、てんかんの病態と薬物治療については種々あり、なかなか整理できてない
    状況でした。

    今回は、ほぼ大学時代の勉強以来ともいえる、てんかん薬についての勉強を行いました。

    てんかんの罹患率は人口1,000人に5人〜10人といわれます。自分たちの住んでいる
    市町村の人口や学校の生徒数からおよそのイメージが湧くと思います。

    病因は、脳そのものに病変がみられない原因不明で遺伝的要因が強い「特定性てんかん」が
    全体の80%を占めます。

    小児科の処方箋でよく見かけるのは、ほとんどこのケースと思われます。

    発作が脳の一部か、全体かにより分類さらに症状により分類されます。
    そして、これらの発作型により治療薬が選択されます。

    てんかんは慢性疾患のため、抗てんかん薬の服用は、長期にわたります。
    このため、副作用の少ない薬が第一選択薬となります。

    薬剤の使用は、単剤少量から開始、徐々に増量していきます。こうすることにより
    副作用発生時の対処が容易になります。

    また、服用によって症状悪化をおこす組み合わせもあるため、要注意です。

    服用中止については、2〜5年間発作が完全に抑制され、脳波も発作波があれば
    考慮することになります。服用中止し際しては数ヶ月〜年にわたり漸減、その後
    5年間経過観察をするそうです。

    発表の後のディスカッションにおいて、てんかん薬を服用していた人が大きな事故を
    起こしたというニュースについての話題になりました。

    てんかんの治療中でありながら薬を服用していなかったケース、または発作の自覚症状が
    あったにもかかわらず運転をして事故をおこしたケースでした。

    前述したとおり、てんかんは長期にわたり服用が必要な疾患であり、治療の継続や服薬
    コンプライアンスが低下しやすいことが考えられます。このような不幸な事故をおこなさいために、
    またてんかんの患者に対して偏った知識や差別につながらないようにするためにも

    治療の重要性と発作にともなう危険性を十分理解し、服薬指導に生かさなければならないと
    あらためて感じました。

    大桑はなの木薬局
    山瀬 聡

  • 石川・富山エリア研修会報告 『うつ病と躁うつ病 ?私たちに何ができるのか?』

    石川・富山エリア研修会報告 『うつ病と躁うつ病 ?私たちに何ができるのか?』

    今回は、もりの里店の上山薬剤師が『うつ病と躁うつ病』というテーマで発表してくださいました。

    うつ病の病因は様々ですが、その仮説として
    1.脳内のドパミン・ノルアドレナリン・セロトニン等のモノアミンが減少することによって発症するモノアミン仮説

    2.モノアミンが作用する受容体が多いために神経伝達機能が亢進しているという受容体仮説

    3.神経細胞の成長を調整する脳細胞の増加に不可欠なBDNF:脳由来神経栄養因子が関与しているのでは
    ないかという仮説があります。

    他にも鉄欠乏性貧血や甲状性疾患、歯科治療で歯に詰める重金属も病因となることがあります。

    現在では5人に1人が羅患し、誰でもなりえる現代病の一つと言えます。

    うつ状態であってもうつ病とは限らず、抑うつ気分や興味・喜びの喪失の継続等、診断基準が確立されています。

    うつ病の患者様にとって一番の仕事は休養と十分な睡眠であり、それと平行して体のなかでおこっている異常を
    薬で修正するという認識が必要です。

    (発表してくださった上山薬剤師)

    次に、躁うつ病とは躁病相とうつ病相を繰り返す病態と単純に思われがちですが、はっきりした躁病相がない場合もあり、
    こういった場合が続くとうつ病と見分けるのは難しくなります。

    また、症状がおさまっていても放っておくと多くの場合再発し、経過とともに再発の間隔が短くなるため、治療としては再発を
    防止することが必要不可欠となります。

    この二つの疾患は似ているようで全く異なり、違う経過や薬物療法となります。うつ病は第一選択薬に抗うつ薬や、補助的に
    抗不安薬を投与するのに対して、躁うつ病は気分安定薬やクエチアピン、ラモトリジンが使用されます。第一選択薬に抗うつ薬を
    投与するのは症状の悪化を招くことがあるためです。

    (質疑応答の様子)

    今回、実際に上山薬剤師の周りで発病された方々のお話や治療経過をお聞きしましたが、ご本人は本当に辛い思いを
    沢山されていました。本人が一番辛いのは当然ですが、特に躁病相を支える周りのご家族の努力であったり、うつ病相の
    患者様のための環境の配慮であったり、周囲の協力なしには治療を為しえないということです。

    思うようにいかない自分、接する周りの方との折り合い、薬の副作用、そして私たち薬剤師の対応でも辛い思いをされたとのことでした。

    言葉はほんの少しニュアンスが違うだけで捉え方が変わること、話し方や表情、目線・・・当たり前のことではあるけれど、
    患者様と接するその一瞬一瞬を大切にしなければならないと強く思いました。

    今回は大変勉強になったと同時に、患者様の背景を考えさせられる機会を頂いたように感じています。

    上山薬剤師、ありがとうございました!そしてお疲れさまでした♪

    もりの里はなの木薬局  浅井 真依子