10月23日の薬剤師ミーティングのメーカー勉強会は、バイエル薬品様にお願いしてホスレノールチュアブルを勉強しました。
ホスレノールチュアブル(一般名:炭酸ランタン)
ランタン(La)なんて聞いたことがありませんでしたが、ちゃんと周期律表にも載っているのですね。透析の患者さんに高リン血症の改善の目的で処方されるのですが、現在私が勤めている店舗では、沈降炭酸カルシウム錠とレナジェル錠、ホスレノールチュアブル錠の3つが採用されています。
←ホスレノールのロゴ。リンは下げ、カルシウムは変動なし。コンプライアンスはアップ、という意味らしいですよ。
今回の勉強会は、この3つの薬品の違いについて理解するのが個人的な目標でした。
さて、ホスレノールの特徴ですが、
薬理作用:消化管内で食事由来のリンを吸着し、糞便中に排泄されることで、体内のリン濃度が上昇するのを防ぐ。
特徴1.沈降炭酸カルシウム錠ではカルシウム濃度が上昇してしまうが、ホスレノールはカルシウムが上昇しない。
特徴2.ホスレノールもレナジェル錠もカルシウム濃度は変化させないが、ホスレノールはレナジェルの代表的な副作用である便秘が少ない。
特徴3.体内にはほとんど吸収されず、また、吸収されたごくわずかなランタンは肝臓で代謝されるので、透析患者さんでも体内に蓄積されない。
特徴4.骨へのランタンの分布は、アルミニウムと違い全体的に分布するので骨軟化症もおきにくい。
こんなあたりでしょうか。
私は特に、ランタンの体への蓄積がないか心配していたのでその点はクリアされていると感じました。メーカーさんが言うには、ランタンは日々の食事の中にも含まれているものらしいです。それほど多量にはないとは思いますが、一般的な物質らしいです。(私は今回初めて知りました。薬学部の授業でも出てこなかったような気がしますが・・・)
あとはチュアブル錠なので噛み砕いて服用することが出来ます。唾液もしくは少量の水で服用できるので水分管理が厳格にされている患者さんに対しては有益だと思われました。
気になるお味の方は・・・無味らしいです。製剤見本があれば食べてみたかったのですが、それはまた今度と言うことに。
まだ発売開始後1年が経過していないので14日以上の処方が出来ないことがネックとして上げられますが、これから使用が伸びるのかなという感想でした。
なんにせよ、透析患者さんのリンをコントロールする薬剤の選択肢が増えるのはいいことですね。
坂下店 夏目
コメント
“ホスレノールチュアブルの勉強会” への2件のフィードバック
解りやすい説明を拝見し、ぜひお伺いしたいことがあります。
発売から一年のため、14日以上は処方できないとは、どうゆうことでしょうか? また、レナジェルの特徴についても、宜しければ、ご教示頂けますでしょうか。
現在、透析初心者の父をもち、わたしも勉強中です。
ほしのそらキラ様、コメントありがとうございました。気づくのが遅くなって申し訳ありません。
まず、「発売から一年のため、14日以上は処方できない」ことですが、「発売から一年が経過していないため、14日以上は処方できない」と書かなければいけなかったですね(汗)
新規に発売された薬は、まだ副作用などの情報が十分蓄積されていないので、発売開始後1年間は1回の投薬期間を14日分を上限とすることが厚生労働省で決められています。そのことを書いたのです。
ただ、ほしのそらキラ様からコメントをいただいたときには、すでに1年が経過しておりますので制限解除されており、14日分以上を処方することも可能となっています(2010.1.1に投薬期間の制限が解除になりました)
あと、レナジェルの特徴については、
薬理作用:消化管内で食事由来のリンを吸着し、糞便中に排泄されることで、体内のリン濃度が上昇するのを防ぐ。
ホスレノールもレナジェル錠もカルシウム濃度は変化させないが、レナジェルは代表的な副作用である便秘が多い。ということがあげられます。メーカーに聞いたところ、4割弱の方で便秘、もしくは便秘の悪化が見られるようです。
あとは、1度に服用する錠数が多いです。1回に1~2g服用するとされているのですが、1錠250mgなので1回に4~8錠服用しないといけません。1日最大量である9g服用しようと思うとなんと1日36錠ということになります。水分制限があると大変ですよね。
お父様ももう透析になれられましたでしょうか。お大事になさってください。